不満渦巻く人事評価改善の方策
連携せよ!左脳的評価と右脳的評価

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 人と人との間に格差をつけなければならないという制度の性格上、人事評価が公平だと感じられることはまずない。それを心に留めておくべきだ。そして、熾烈なグローバル競争にさらされているときに、評価の公平性を盾にとって、評価の効率性を犠牲にする余裕はないだろう。

 評価の仕組みを見れば、組織の文化や価値観が見えるものだ。わが社でだれが優遇され、だれが上に昇るのか。それをわかりやすい形で示しているのが、人事評価なのである。だから、組織がグローバル化すれば、評価の仕組みを通じて企業の価値観を伝えることを、これまで以上に熱心に行っていく必要がある。

 そのためには、人事評価にかかわるアートとサイエンスが、右脳と左脳のように、緊密に連携していくことが大切だということを、拙著『人事評価の総合科学』で繰り返し述べてきた。その努力が認められて、栄誉と伝統のある「2012年 日本労務学会 学術賞」を、本書が受賞した。

「人事評価は組織を映す鏡である」。ただし、同じ鏡といっても、細かな化粧崩れを直すためのコンパクトもあれば、全身を映し出して、身だしなみを整える姿見もある。女性も男性も、毎日数回は鏡を使うだろう。組織であっても、1年に1度か2度は鏡に身を映し、客観的な視点で眺め直し、内に溜まった錆やほころびや垢(あか)を、すっきりと落としてみるのがよいのではないか。

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