【新連載】
包括的(BOP)ビジネスとは
何か特別なもの?

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おかだ まさひろ/専門は企業戦略理論および包括的(BOP)ビジネス。「包括的(BOP)ビジネス企業戦略フォーラム」主宰。経産省BOPビジネス支援センター運営協議会委員、同新中間層獲得戦略研究会委員。早稲田大学政経学部を卒業し、本田技研を経て、慶應義塾大学MBA。Arthur D. Little(Japan)でIT産業における戦略コンサル後、渡米。Muse Associates社(代表:梅田望夫氏)フェロー。オハイオ州立大で経営学Ph.D.を取得。

 包括的(BOP)市場には約45億人超の人口が存在する。このコラムは、企業戦略理論に立脚し、実際に企業が包括的市場と他の新興国・先進国市場を連動させながら包括的(BOP)ビジネスを成功させるには、どのような経営資源や能力が求められるのかを考察する。

 本コラムでは、すでに日本では定着してしまった感のある「BOPビジネス」という言葉は極力使わない。というのも、すでに英語圏(国連や世界銀行など多くの公式文書)では、baseやbottomというややもすると差別的な響きを持つ言葉を避け、inclusive business(包括的ビジネス)という用語が好まれるからだ。ちなみに経済産業省が主催するBOPビジネス支援センターも、英語名はInclusive Business (包括的ビジネス)Support Centerである。この包括的という言葉には、これまで貧困ゆえに公式の経済社会に参加できていなかった多くの人々を包括的に考慮の対象にする、という意味がある。

 上記の意味あいを込めて、本コラムではinclusive businessの直訳である「包括的ビジネス」という言葉づかいにこだわっている。
 

市場の魅力度が将来成果を
決めるウエイトは高くない

 連載の開始にあたって、最初にお断りする必要がある。本連載は、途上国低所得層市場(包括的ビジネス・BOPビジネスの対象)がいかに魅力的か、といった類の扇動を行なうコラムではない(ちなみに包括的ビジネス・BOPビジネスとは、『地球人口70億人の内、年間の消費支出が、2002年の購買力平価ベースで3000ドル以下の人々約45億人超を対象に、貧困の解消や衛生状態の改善など、社会的課題解決を営利ビジネスのスキームで実行し、社会的効果と経済的利益を共に持続させていく意図を以て遂行されるビジネス』を言う)。

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