【新連載】
「改善」と「イノベーション」は
全く別物と思っていませんか?

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必要なのはイノベーション?

 読者の皆さんは「改善」という言葉を聞いて、どのようなイメージを持たれるでしょうか? ビジネスの第1線で活躍されているビジネスパーソンの方々の前で「改善」についてお話すると、何か物足りないような顔をされることがあります。

 私としては極めて残念なので、講演の後で何名かの方にお話しを聞いてみると、「改善は所詮現状を肯定したものに過ぎず、大きな改革やイノベーションに繋がるものではない。この激動の時代に企業として生き残っていくためには、むしろ抜本的な改革やイノベーションが必要なのであって、現状を所与とした上での小さな改善は、やらないよりもやった方が良いに決まっているが、我々が今考えなければならないのは、改革やイノベーションの方ではないでしょうか」というご意見を頂戴することがあります。なるほど、もっともなご意見で、反論の余地はないように思われます。

 しかし、私がここで強調しておきたい点は、以下の2点です。すなわち、(1)「改善」と「イノベーション」は、何か異なるものであるという文脈で語られることが多いのですが、社会的な適用範囲の広さや効果の大小という点で違いはあるものの、問題解決という点では構造的に何も変わらないということ、また、(2)企業競争力の維持・向上のために「改善」は「イノベーション」とは異なった利点・効果があるということの2点です。

「イノベーションの神話」

 まず、皆さんは「イノベーションの神話」というお話をご存じでしょうか。イノベーションと聞くと、誰か天才がある瞬間ひらめいて、何もない所から社会的な問題の解決に繋がる新しい技術や、新しいビジネスモデルを創造するものと考えがちです。

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