経営センスの習得に教科書はない
――では、MBAコースの価値はどこにあるのか?

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既存のMBAプログラムを反面教師にしたICS

 ビジネスには「スキル」と「センス」という2つの能力が必要になる。ところが、この2つは相当に中身が異なるので、区別して考えたほうがよい。担当者のレベルであればそれぞれの専門分野のスキルがあれば仕事はできる。しかし商売丸ごとの経営となるとスキルでは歯が立たない。経営者としてのセンスが必要になる……、ということを、この連載のあちこちでお話ししてきました。

 たとえば連載第7回では、グローバル化という文脈でセンスの大切さを強調しました。グローバル化の本質は単に言語や法律が違う「外国」に出て行くということではありません。

 グローバル化が難しいのは、それが本来的に「非連続性」を伴うからです。それまでのロジックで必ずしも通用しない未知の状況でビジネスをやる、ここにグローバル化の正体があります。

 言語能力やその国の制度についての知識といったスキルも必要ですが、それ以上に未知で不確実な状況で商売丸ごとを動かしていく能力――それは「経営センス」としか言いようがないもの――をもつ経営人材がいるかどうかがカギを握ります。スキルの不足ではなく、センスあふれる経営人材の希少がグローバル化の真の障壁となっているという話です。

 というような話をしていると、ある読者の方から次のような質問をいただきました。「スキルだけでは経営者になれない、センスが大切だ、というのはわかった。でも、ちょっと待て。オマエが仕事にしているビジネススクールのMBA教育は、スキルを教えているだけじゃないのか。MBAで勉強してもセンスは身につかないのではないか。だとすると、ようするにMBAは経営人材の育成には役立たないということになるのではないか」

 これはヒジョーに真っ当な疑問ですので、今回はこの質問に対する僕なりの答えをお話ししたいと思います。

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